2022 年 57 巻 3 号 p. 1347-1354
本研究では、地方都市の提案型助成制度による市民活動育成機能を明らかにするため、実績資料調査と制度担当課及び提案団体への紙面調査・ヒアリング調査を実施し、制度の助成実績と運用実態、および事業内容や提案団体の育成実態を分析した上で、地方都市における市民参加のまちづくり促進の一助となるような制度のあり方を検討した。その結果、助成実績からは、1コース1回のみの利用が多いことが明らかになった一方、段階を意識した細かいコースが設定されている栃木市制度は、コースを跨いで複数回利用する団体や事業が多く、持続的・発展的な活動を促す育成機能を持っていることが分かった。また制度の段階ごとに見た育成機能の分析からは、事業や団体の育成には、どの段階においても「アドバイス」「協議」「連携」など、対話が重要であることが示され、奥州市制度の「提案のテーブル」のような対話の場の有効性が示唆された。