2022 年 57 巻 3 号 p. 1431-1438
本研究は,平常時から利用できるスマートフォン向け防災ゲームアプリ「防災Go!」を開発し,防災まちづくりに資する効果や課題を検証するものである.本アプリは,ゲーミフィケーションを導入することで,住民が日常生活を通じてコミュニティに親しみ,災害が発生する前に避難できるように動機づけることを意図している.利用者にはスマートフォンを通じて地域のハザードマップが提供され,実際に危険箇所や避難所などに足を運ぶことでポイントを獲得できる.熊本県緑川流域周辺の住民を対象とした検証実験では,さまざまな世代の利用者が地域の災害危険リスクを探究し,理解する動機づけとなることが示された.これらの知見は,コミュニティベースの災害リスク管理に貢献できると期待できる.