都市計画論文集
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東京都心部の都市再生緊急整備地域における鉄道駅自由通路の付帯構成とその遷移実態
廣瀬 拓也稲用 隆一
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2022 年 57 巻 3 号 p. 554-560

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抄録

都市再生特別措置法の制定以降,日本各地の主要都市における中心市街地の再開発が進んでいる.特に,特定都市再生緊急整備地域に指定された東京都心部の主要駅及びその周辺は再開発の重要な拠点となっており,戦後日本においても特筆すべき変貌期に直面している.これらの再開発において,民間の活力を積極的に用いて「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの創出と居住エリアの環境向上を実現するには,歩行者目線の実体的な構成の観点から実態を把握し,事業者の区分を超えた一体的な空間特性が形成されうるかを適時検証することが重要である. 本研究では,都心部主要鉄道駅における自由通路の付帯構成と連続性の経年変化を検討した結果,2012年の都市再生緊急整備に指定されて以降,自由通路の更新がなされた駅建物が多くみられること,自由通路を構成する単位空間において2012年時点では仮設の案内所や店舗が常設になり高度利用と複合化の進行していること,都市再生緊急整備地域における都市更新により自由通路において新たに連続的な空間が形成されながらも駅建物に内部化された範囲に留まっており都市空間に表出しにくいことという2020年時点での遷移実態を明らかにした.

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