都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
所有権移転に着目した歴史的建造物保全方策に関する研究
湘南地域を対象として
高崎 温中井 検裕沼田 麻美子坂村 圭
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 57 巻 3 号 p. 569-576

詳細
抄録

本研究では、湘南地域を対象に歴史的建造物における所有権移転及び運営権移転の実態を調査し、各移転方法について今後の発展可能性を考察することで公有化による解体防止策の必要性を明らかにした。 所有権移転数の増加傾向に対し、民間個人による買い手不足が顕在化している現在では、保全を前提としない営利法人への移転による解体機会を避け、行政に所有権を移転することによる解体防止策を講じることが求められる。ただし公有化に向けた行政の支出は各自治体ともに難しい意向であり、寄贈受入による移転後においても公営での保全活用には財政面及び人材面で共に逼迫につながるため民営による活用が求められる。そこで公有化事例の多く移転先紹介制度を構築している鎌倉市を対象に公有化後の活用実態について、制度運用実態と共に考察し、公有化後の活用に向けた課題が用途変更許可及び地域住民との合意形成にあることを示した。

著者関連情報
© (c) 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top