2022 年 57 巻 3 号 p. 682-689
本研究の目的は、アーティスト・イン・レジデンス(AIR)について、これまで関心が払われてこなかったアーティストの滞在期間外に着目し、この期間に実施される住民参加型アート活動を対象に、住民のAIR運営及び他のまちづくり活動への参画の実態を明らかにすることである。本研究では、以下の3点を明らかにした。1)アーティストの滞在期間が半年以下のAIRでも住民参加型アート活動をあまり重視していない。2)運営体制と活動方針の変化によって提供するプログラムが変化し、住民関与に影響を与えている。3)AIRへの関与を契機としてAIR以外のまちづくり活動に参画する事例を確認した。以上のことから、AIRの潜在的意義を踏まえた、今後のAIRの推進に向けた考察を行った。