都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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水害常襲地における被災者による住宅減災復興と主観リスクの関係性に関する研究
2018年西日本豪雨の被災地倉敷市真備町を事例としたリスクコミュニケーション概念を用いた分析
近藤 民代馬場 美智子藤井 諒平
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 58 巻 1 号 p. 58-69

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抄録

本稿は2018年西日本豪雨の被災地倉敷市真備町を事例として、リスクコミュニケーションの概念を用いて住民の主観リスクとリスク低減行動の関係性を明らかにした。将来の水害に対する主観リスクとリスク低減行動の 2 軸で被災者を 4 つに類型化し、類型ごとの特徴を根拠として、パターンごとに異なる介入をする必要があるという実践的な示唆を得た。情報の取得や理解は主観リスクに、浸水位はリスク低減行動に影響を与えること、主観リスクはリスク低減行動の検討までにはつながるがリスク低減行動には直結していないこと等が明らかになった。特に主観リスクが高いが、リスク低減行動を伴わない災害リスク認知のパラドックスを示した集団はリスクに対する関心や知識も高いため、その減災効果や便益などについてより理解を深めてもらうことで、行動を変容させることが可能と推測できる。

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