都市計画論文集
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グラスゴー市Stalled Spacesプログラムによる暫定的な空地活用の実態に関する研究
市民団体による地域活動の展開に着目して
田中 智朗阿部 大輔
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キーワード: 暫定利用, 空地, グラスゴー
ジャーナル オープンアクセス

2023 年 58 巻 3 号 p. 1274-1281

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抄録

近年、都市空間の暫定利用は国際的な注目を集めており、人口減少下などの将来の見通しが立ちづらい都市の状況においては、不動産需要に柔軟に対応しながら都市空間の再編を進める有効な手段として認識が高まっている。一方で、一時的な利用という形態が持つ利用後の変化については未だに研究の蓄積が少なく不明瞭な点が多い。<br /> 本研究では、スコットランドのグラスゴー市で実施されている市民による未利用地での暫定利用を支援するプログラムStalled Spacesに着目し、未利用地での一時的な活動がどのように展開されてきたかを明らかにする。<br /> その結果、8割のプロジェクトでは開始時と同じ敷地での活動が継続しており、一時的な利用を前提としているものの、利用期間を延長しながら活動が地域に根付いている様子が伺えた。また、次の利用が決定し立ち退きを余儀なくされたプロジェクトが、近隣の空地での新たな暫定利用を計画していることや、プログラムを通して空地の活用を経験した市民団体が、周辺の別の未利用地を活用したプロジェクトを開始する、といった展開が見られ、市民が主体となって地区の未利用地を連鎖的に改善している実態が明らかとなった。

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© (c) 日本都市計画学会
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