2025 年 60 巻 1 号 p. 1-8
長春では、満州国時代の近代建築が保存・活用されている。本研究では、長春市における満州建築の転用に関する歴史的経緯・分布状況と転用内容を明らかにする。さらに、転用の内容と歴史的経緯の関係性を解明する。研究結果は次の通りである。 (1)満州建築の転用は使用性転用から活用性転用へと展開している。(2)転用は主に4つの歴史文化街区に分布している。(3)転用は観光利用や用途復原、用途の混在のような、公開性の高いものへと進展している。(4)戦後直後は都市計画の方針の変更が要因で、満州建築の転用が促進された。また、市独自の建造物保全施策や観光施策の充実が影響し、柔軟性のある活用を実現してきた。