日本土木史研究発表会論文集
Online ISSN : 1884-8133
Print ISSN : 0913-4107
ISSN-L : 0913-4107
パリ環状道路の環境設計に関する一考察
天野 光一
著者情報
キーワード: 景観, 環状道路, 環境設計
ジャーナル フリー

1986 年 6 巻 p. 110-114

詳細
抄録

都市内交通需要の増加に伴って、今後都市内自動車専用道路の建設はますます進むものと思われる。しかし、我が国の環境対策は、遮音壁の設置などに代表されるような後追い的なものが多かった。本稿では、今後我が国で必要となってくると思われるより総合的な環境設計の参考とするために、パリ環状道路の環境対策について考察を行った。ペリフェリックの建設時には、ブローニュ、ヴァンセンヌの森の通過部分の配慮、騒音対策が最も重視されていた。ブローニュ、ヴァンセンヌの森の通過部分では、堀割り構造の採用、充分な植栽などの対策によって充分な効果を上げている。重要な公園でも不可触ではなく、以前より良くなることが予測されるならば、積極的に手を入れるという態度であろう。騒音対策は、構造上の対応がはじめに挙げられ、それが不可能な場合に遮音築堤、遮音植栽、遮音壁の設置を考慮するとされている。この他、都市のシンボルとしてデザインする、既存施設通過部ではフォーメーションで対応する、植栽による修景などの対策が行なわれており、多様で総合的な、環境設計がなされていたと言えよう。(景観、環状道路、環境設計)

著者関連情報
© 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top