日本土木史研究発表会論文集
Online ISSN : 1884-8133
Print ISSN : 0913-4107
ISSN-L : 0913-4107
吉野川の歴史 (その6)
本流の治水工事と併行した周辺の治水と利水工事
澤田 健吉
著者情報
キーワード: 河川, 行政, 明治期以降
ジャーナル フリー

1986 年 6 巻 p. 162-170

詳細
抄録
吉野川の第1期改修工事が行なわれている時, またその竣工と相前後して行なわれた, 流域内の支川の治水や利水の工事の状況を調べた。しかし全工事を包括的に調べるのではなく, 改修工事の性格を決めた契機になるような工事を重点的に取り上げた。このような考えで, 各郡・町・村史・用水史・その他の未公開の資料を利用して, 工事の記録を整理した。
この結果, これら工事の進展が吉野川の本流の改修工事と如何に関連しているか, またそれらは相互に如何に関係しているかを考察することにより治水・利水工事の記録において技術の進歩として数々の文献に表現されているものが, 吉野川に関する記録の中に見付けることが出来そうなこと, また筆者が技術の進歩として板名用水史の記録の中に見付けた技術の姿が, 岩木川の開発に関した文献の中に興味深く書かれているのを知った。
このほかに, 2, 3の文献に提案されている開発の時代区分に, 吉野川と支川の開発の進展の実態を当てはめて, 開発の編年的な記述の意味の考察と共に, 藍作中心のために遅れたと通常言われている吉野川流域の開発の実態の一面を見ることにより, 遅れの問題を考える手掛りが得られたと感じられる, など何点かについて成果を得た。
著者関連情報
© 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top