土木史研究
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中部5県の近代土木遺産-道路隧道・砂防堰堤・発電堰堤の評価
馬場 俊介増田 智彦岩村 高正
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キーワード: 明治~昭和, 隧道, 堰堤
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1994 年 14 巻 p. 109-124

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抄録

本論文は1991~93年にかけて実施された中部5県の近代土木遺産調査の第2報にあたる。前報では道路橋の技術評価基準について種々の提案を行ったが、本論文では、道路隧道、砂防堰堤、発電堰堤の3種類の構造物に対する評価基準作りをめざした。これら3種類の構造物はあちこち普遍的に存在する割にデータとして文書化されておらず、個々の構造物に対する歴史的・技術的資料も皆無に近く、外見上も「ごくありふれたトンネルやダム」であることが多い。近代土木遺産調査でも、客観的評価が最も困難な部分である。本論文では、数少ない全国的資料と調査データを合体させることで構造物の経年的な発達過程を把握し、技術評価のベースとした。また、意匠的な観点からの評価についてもガイドラインを示した。こうして作られた評価基準を325件の調査データに実地適用し、5件の第1級構造物、20件の第2級構造物、42件の第3級構造物を試行的に選定した。本論文の評価結果そのものは、母数の少なさから最終判定とは言い難いが、1993~95年にかけて実施中の全国調査により母数が増えれば、より的確な評価へと結び付けることができる。

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