土木史研究
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秋田藩における近世期史料からみた水利・治水技術の特徴
米代川中流域における堰普請積書について
堀野 一男
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キーワード: 秋田藩, 七日市村, 普請積書
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1994 年 14 巻 p. 287-294

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抄録

これまで近世期に関しては、いくつかの利水・治水技術の研究が進められてきたが、地域的な視点に立った具体的な事例の研究は、まだあまり多くない。近世期における治水・利水技術の全体像を明らかにするには地域における具体的な事例の研究も重要であろう。本研究関連ではそのような認識に立って、これまで村内肝煎文書をはじめ、町方丁代文書の調査等を進めてきたが、今回の研究もその延長にあたる。
秋田県北部を流れる米代川の、中流域に合流する支川小猿部川を7km程遡った所に位置する七日市地区は、江戸期に入ってからの、記録に残るところでは慶長七年 (1602) に、その支郷も含め108軒を数えた。その支郷のなかに品類村、黒森村、三ノ渡村、与助岱村などがあり、それらの地区は小猿部川流域に沿って生活を営みながら水田農耕と堰管理に携わってきた。
本研究ではこの七日市村の肝煎を代々に渡って勤めた長岐家文書に残された堰開削蚪、積書をもとに岩堰開削の規模をはじめ、工事見積、開削に関わる購入物品、「金堀工」「鍛冶工」などの労賃について、各々若干の考察を試みた。

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