土木史研究
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我が国におけるダム湖水景勝地指定の歴史的考察
竹林 征三皆川 朋子
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キーワード: ダム湖水, 景勝地, 歴史
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1995 年 15 巻 p. 221-228

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抄録
本研究では、ダム湖における景勝地指定及びその効果を明らかにすることを目的に、景勝地を評価する手法の一つとして古来より用いられている「八景」に着目してダム湖水における指定事例を収集し、分析したものである。その結果、以下の2点が明らかとなった。
(1) 古くより人々が自然景勝地を八景として価値を与えたのと同様に人工湖水であるダム湖水も八景として指定されている事例をみることができ、ダム湖が周辺の自然と調和した優れた景勝地を創造してきたことが把握できる。これは日本の文化の中にダム湖水が定着したものと受けとめることができるだろう。
(2) 景勝地指定は、一つ一つのダム湖水景観に価値を与える。そして重要な観光資源となりこれを題材とした版画や歌の製作、歌碑の建立等、八景巡りの遊覧船などが生まれ、観光地としての湖水名を大きくPRすることとなる。さらに、町名をはじめ各種施設にダム湖水名が名付けられる等、景勝地指定が地域へ与える影響は大変大きいことが把握できる。
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