土木史研究
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長崎県対馬・厳原の防火壁
防災まちづくりを先人の知恵に学ぶ
後藤 恵之輔
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1995 年 15 巻 p. 593-601

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抄録
本年 (1995年) 1月17日に起こった阪神大震災は、防災まちづくりの重要性を再認識させた。本研究では種々の災害のうち火災を取り上げ、その防止策の一つとして防火壁を考え、成功事例である長崎県対馬厳原町のそれについて、歴史的かつ社会・経済史的に考察したものである。厳原の現地において、防火壁の現状を踏査するとともに、厳原町教育委員会と郷土史家を訪ね、防火壁築造に至るまでの背景、防火壁の築造と効果などについて調べた。厳原において防火壁ができたのは、江戸時代に度重なる大火が続いたためであり、築造後では大火は無く、防火壁が効果的に機能していったことが明らかである。現在では、島の土地狭小により、家屋の敷地や道路の用地が限られる結果、防火壁は消滅したり姿を変えようとしている。
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© 社団法人 土木学会
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