土木史研究
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加藤乙三郎と四つの発電所
土岐川における発電所の歴史
茂吉 雅典諸戸 靖
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2002 年 22 巻 p. 215-224

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抄録

1993 (平成5) 年小里川ダムは多目的ダムとして着工し、現在工事が進められている。同年3月小里川の3つの発電所が運転を停止した。また、下流にある土岐川発電所 (旧名: 多治見電燈第一発電所) も2001 (平成13) 年3月に運転を停止した。これらは明治・大正の時代に加藤喜平と乙三郎兄弟が私財を投げ打って建設したものである。発電所は貯水槽、水路、ずい道、橋 (人道橋・水路橋) から倉庫にいたるまで、徹底して石材を積み上げた、全国にも珍しい石の建造物である。発電出力は130~260kwの発電所である。その一つ、小里川第一発電所 (旧名: 多治見電燈第三発電所) では1912 (明治45) 年製造、日本初の国産水車発電機 (日立製作所第一号の製造製品) を使用していた (1967 (昭和42) 年の修理のとき発見)。これは我国の水車発電機の製造史上に記念すべきものである。ダムに沈む石造物は歴史的にも記念すべきものである。それらは伝統技術と産業遺産である。本論文では加藤兄弟が建造した発電所とその人物について述べている。

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