1996 年 13 巻 p. 303-312
都市における鳥類と人間との関係を調べるために、1993年に農村域として小貝川、1994年に都市域として多摩川で、鳥類の避難行動 (逃避行動、回避行動、警戒行動) 開始時の距離を測定した。測定された距離の結果は、(1) 地域による相違 (小貝川に対する多摩川での距離の短縮化)、(2) 経時的な相違 (1976年の既存データに対する1994年の測定距離の低下)、(3) 種の特性による相違 (体長と距離の相関性、水鳥 (W1) と都市鳥 (U) の分布状況と位置の変化) で特徴づけられる。以上の結果は、都市域は鳥類にとって必ずしも生息しにくいだけの環境ではなく、有効な側面を持っていることを示しており、その結果に基づき、人間と鳥類との共存関係について考察した。