抄録
本研究は、景観研究の分野にあっては未開拓の領域であった「飲食」の問題を、新たに景観的視点から解釈したものである。特に本論では次の点に重きを置き研究の概念的枠組みを示した。
(1) 飲食と景観との関係を、歴史的に一定の評価が定まっている事象を手がかりに、時系列的な側面・飲食行為と景観体験とが関連するケースとその形態・飲食行為に際しての、空間に対する人の働きかけ、などの観点から整理し、飲食行為に際して働く空間や景観に関連する幾つかの原理をまとめる。(2) 飲食内容について、それが持つ記号性を、名物と場所の関わり・料理の中味と組立および名称・味覚印象および味覚表現と言葉、などの観点から整理し、景観的影響をまとめる。