土木計画学研究・論文集
Online ISSN : 1884-8303
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樺島正義の仕事と橋梁設計思想
中井 祐
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2007 年 24 巻 p. 1-15

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抄録

本論文は, 日本近代を代表する橋梁技術者の一人, 樺島正義 (1878-1949) の仕事の全容を明らかにするとともにその設計思想の特質を示し, 日本近代橋梁設計史における樺島正義の歴史的位置付けを考察するものである. 樺島は, 鍛冶橋や呉服橋をはじめとする東京市内の市街橋の設計に実績を残したが, その設計手法の特長は, 都市の文脈の読解に基づいて架橋地点の場所性を橋の線形, 構造形式, 装飾等に反映させながら, 総合的に橋の景観を構成していく点にあった. これは, 橋の美観即ち装飾設計と考えられていた文明開化期以来の従前の手法に対して, 都市空間や景観という価値に基づいて市街橋設計の新たな方法論を示した点において, 日本近代橋梁設計史上のエポックとして位置付けられるものである.

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