2007 年 24 巻 p. 197-206
本研究では, 都市集積均衡パターンの選択問題に対して, 不確実な経済環境下における人口移動の完全予見的ダイナミクス (Perfect-foresight dynamics) を記述したモデルを構築し, その効率的な解法を提案する. 具体的には, 不確実性下における労働者の地域間移住に関する意思決定モデルを定式化し, 人口移動ダイナミクスの均衡条件が非線形相補性問題 (NCP: Nonlinear Complementarity Problem) に帰着することを示す. その上で, この問題を効率的に解くための数値計算手法の開発を行う. 最後に, 提案手法を用いた分析により, 確率的に発生する輸送費用のサンプルパスに応じて, 人口移動ダイナミクスの均衡経路が一意に決定されることを示す.