2007 年 24 巻 p. 75-82
本研究では, 吹田市の交通バリアフリー化事業を対象としたCVM (仮想市場評価法) 調査を行い, 以下の事項を確認した. CVMによる社会基盤施設整備の評価では, 計画・実施主体に対する不満が支払意志額の表明にマイナスの影響を及ぼしたWTP>0の回答が存在する. そして, WTP>0回答の負の相互応報的動機による支払意志額の表明に対するマイナスの影響は, サンプル全体のWTPに過小評価の影響を及ぼし得る.
過小評価回答を排除したWTPを必要とするCVM調査においては, WTP=0の過小評価回答を確認するだけでなく, WTP>0に関しても過小評価回答の確認を行い, その処理を行う必要があると言える.