土木計画学研究・論文集
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環境配慮行動における他者の影響のモデル分析 -交通エコポイント制度におけるポイント還元行動を対象として-
倉内 慎也水場 牧子森川 高行
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2009 年 26 巻 p. 511-518

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抄録

 本研究では,他者の協力状況が個人の環境配慮行動の意思決定に及ぼす影響についての知見を得るために,交通エコポイント制度におけるポイント還元行動を対象として分析を行った.その際,意思決定に影響を及ぼす要因として,既往の研究が主として着目している他者協力率以外に,他者協力強さならびに他者の効用を考慮し,それらを数理モデルとして定式化した上で分析を行った.その結果,個人の環境配慮行動は,他者協力率と比較して他者協力強さにより大きな影響を受けること,また,意思決定者は,準拠集団内の下方に属する他者を比較対象として選定する下方比較を採用する傾向があることが確認された.加えて,意思決定の背景には,他者への後ろめたさといった受動的動機が存在したり,中には他者の協力状況の高さに甘んじてフリーライドするような個人が現れる可能性があることが確認された.

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