抄録
本研究では,大規模交差点における歩車分離制御導入による影響について,事前1時点,事後4時点の観測調査データに基づいて横断者,右左折車の挙動の変化を経時的に分析した.次に,交錯を起こす左折車,横断者の通過台数・人数分布に着目して,歩車交錯リスクの推計手法を提案し,実データに基づいた現況評価を行うことで,歩車分離制御導入による安全性の向上効果を定量的に示した.さらに,制御方式別に,円滑性,安全性への損失について貨幣換算し,経済評価を行うことで,調査交差点の朝夕時間帯の交通状況では,歩車分離制御により円滑性低下による損失を被るものの,それ以上に安全性向上により得られる効果が大きいことがわかった.