2010 年 27 巻 p. 337-343
本研究は,水害を対象として行動プラン作成を依頼することが,実際に水害に備える行動の実行や水害に対する意識にどのように影響を及ぼすのかを測定することを目的としている.事例研究として山梨県内の新興住宅街を対象として行動プランの作成依頼を行い,事前・事後調査から行動の変化と意識の変化を測定した.その結果,緊急連絡先の確認や非常持ち出し品の準備等の比較的実行が容易なものについては統計的に有意な効果を示した.また,災害に対する意識についても統計的に有意な差が見られるものがあり,いずれも行動プランを配布した地域では望ましい方向になっていた.これらの結果からハザードマップ等にあわせて行動プラン作成用紙を配布し,プラン作成を依頼することが比較的容易な行動や意識に効果があると確認された.