抄録
大学におけるゼミ指導での研究の一つとして、 色々な自然素材を利用した作品制作を行っている。 蚕の飼育から繭を作り、 その糸で作品を作る試みを行うにあたって、 奈良県の山添村の大和高原文化の会会員の協力を得られることになった。 会を構成する半数以上が 70 歳以上 の高齢者であるが、かつて地域を潤した養蚕を村の次世代に伝えておきたいということで、空き校舎を利用した民俗資料館で蚕の飼育を引き受け、地域や村外の小学生など子ども達にも蚕 を飼育している様子を公開した。また文化の会、大学生たちと一緒に村内の小学校で出前授業 を年数回行った。 大学生たちは絹糸にして着物などの作品を制作し、 文化の会の総会などで披露した。 本活動は高齢者、 大学生、児童が世代間で学びあう相互互恵的な交流となり、 地域活性、文化の伝承にも貢献すると考えられる。