Journal of MMIJ
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論文-【地球環境工学特集】二酸化炭素地中貯留に関わる最新の研究動向-
ランダムに分布したポア構造を有する多孔質におけるハイネスジャンプと毛管圧浸透の空隙スケール数値シミュレーションとCO2地下貯留への適用
張 春偉高 謙胡 映学袁 正一末包 哲也肖 鋒
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 137 巻 5 号 p. 56-62

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抄録

多孔質中の非混和二相流に関する現象はCO2地下貯留や原油増進回収,土壌修復など様々な工業的,自然科学的応用を有している。ハイネスジャンプや毛管圧浸透などの空隙スケールの現象は置換プロセスに大きな影響を与えることが知られている。ハイネスジャンプは周囲の空隙内におけるメニスカスの再配置を伴いながら二相界面が急激に移動する現象である。対して,毛管圧浸透は濡れにくい相が大きな空隙を平坦な界面を維持しながら選択的に浸透する現象である。本研究では,様々なスロート径を有するランダムな構造を有する多孔質における排水過程の数値シミュレーションを行った。ハイネスジャンプと毛管圧浸透は飽和率の変化に影響を与える。ハイネスジャンプでは飽和率が変わらず先端界面の移動が生じる。一方,毛管圧浸透では先端位置がほとんど変化せず,飽和率の上昇が発生する。さらに,キャピラリー数と粘性比の影響を調べた。高いキャピラリー数と高い粘性比が,CO2などの濡れにくい相のキャピラリートラップには有効である。エネルギー収支を求めた結果,外からなされた仕事の48%がこれらの不可逆過程で散逸していることが分かった。

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© 2021 The Mining and Materials Processing Institute of Japan

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