抄録
イヌの胆嚢粘液嚢腫(GM)の詳細な発生機序は未だ不明である。胆汁中の疎水性胆汁酸は強い細胞毒性を有することより、疎水性胆汁酸の胆嚢胆汁中分画比の増加がGMの発生に関与している可能性が高い。また血清中の胆汁酸組成は胆嚢胆汁中の胆汁酸組成を反映することが明らかになっている。そこで本研究ではコントロール(Cont; n=7)群、胆泥や胆石がみられる症例(BS; n=32)群およびGM(n=20)群における血清中の胆汁酸組成を分析し、これらの関連性について比較検討を行った。その結果採血時のウルソデオキシコール酸製剤投与の有無に関わらず、GM群において疎水性胆汁酸であるタウロデオキシコール酸の血清中分画比がCont群よりも有意に低下していた。本研究における血清中胆汁酸組成の結果より推察する限り、胆嚢胆汁中疎水性胆汁酸分画比の増加ではなく低下がGMの発生に関連している可能性が示唆された。