2026 年 29 巻 1 号 p. 1-14
ネコがイネ科植物を摂食する原因を探ることを目的とし、味覚センサーを用いたイネ科植物の味覚分析手法の確立を試みた。さらに、この手法によりイネ科植物の味覚的特徴を明らかにした。市販キャットフードAに純水を加えて攪拌した後、遠心分離により得た水層部をスタンダードとした。イネ科とマメ科を含む牧草、野菜、果実、塗油行動を示す植物、毒性植物、計15科39種の植物を各種ごとに100 g用意し、ミキサーで攪拌した。これをフードプロセッサーに採取し、粉砕したキャットフードAと純水を加えて攪拌した。その後、遠心分離により得た水層部を測定用サンプルとし、味覚分析を行った。結果、各味覚の測定誤差率はすべて50%未満を示し、評価可能と判断された。各科の味覚平均値を用いて主成分分析を行った結果、先味の旨味は他の味覚とは異なる特徴を示した。また、階層クラスター分析の結果、イネ科植物が比較的酸味や苦味が少なく、旨味、塩味があるという味覚的特徴を明らかにした。結論として、イネ科特有の味覚特性が明らかにされた。イネ科の高い旨味はネコにとって魅力的な可能性があり、それが猫がイネ科を受け入れる理由の一つである仮説が立てられた。