抄録
妊娠期の母親が摂取した共役リノール酸(CLA)またはリノール酸(LA)が,授乳期の母親または乳仔の皮膚ロイコトリエンB4(LTB4)含量に影響を及ぼすかについてマウスを用いて検証した,8週齢の雌マウスを3群に分け,それぞれに市販飼料,LA1%添加飼料,CLA1%添加飼料を交配前から出産後2週まで与えた。生後0,1および2週の乳仔の皮膚と産後2週目の母マウスの皮膚を採取し,皮膚のLTB4含量を測定した。その結果,母マウスと0 および1週齢の乳仔の皮膚LTB4含量に各飼料の影響がみられなかった。一方,2週齢の乳仔において,対照群よりLA群のLTB4含量は有意に高かったが,CLA群とLA群との間に有意な差は認められなかった。結論として,LAの経口摂取は乳仔の皮膚LTB4含量を高めることが明らかになった。