抄録
健康な成ネコと成イヌの尿成分(ストルバイト結晶化と関連する物質濃度ならびに窒素化合物濃度)を比較した。統計的な有意差はなかったものの,尿pHは成イヌの方が高くなる傾向を示したのに対して,尿浸透圧および尿蛋白質濃度は成ネコの方が有意に高い値を示した。尿中MgならびにNH3濃度は成ネコの方が高い値を示したが,尿中P濃度は成イヌの方が高かった。成ネコの尿沈渣のSDS-PAGE像は,THP(Tamm-Horsfall糖蛋白質)様蛋白質の存在を示したのに対して,成イヌの尿沈渣画分中のTHP様蛋白質は検出下限以下であった。尿中窒素化合物の排泄パターンは,成ネコと成イヌ間で大差はなかったが,尿中総窒素排泄に対する尿素態窒素排泄の百分率は,成ネコの方が高くなる傾向にあった