抄録
和歌山,奈良および大阪地区の一般家庭で飼育されている大型犬について栄養調査を実施した。その一環として飼育状況についても調査し,飼育状況と肥満の発生との関連性を検討した。予防接種のために獣医科病院に来院した大型犬のオーナーを対象に飼イヌの品種,性別,年齢,飼育状況などに関するアンケート調査を実施するとともに,獣医師によるボディ・コンディション・スコアー(BCS)や健康状態の判定などを行った。その結果,体重超過(BCS4)あるいは肥満(BCS5)と判定された大型犬は,それぞれ28.5,17.8%を示し,両者を合わせると肥満傾向にある大型犬は半数近くに達した。品種的にはゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーで肥満傾向を示すものが多く,また,雌イヌで肥満と判定される割合が高かった。去勢・避妊手術も肥満の発生につながる可能性が示唆され,とくに雄でその傾向は強かった。食餌の回数,飯の種類などとBCSの関係は明確でなかった。しかし,間食を与えられているグループではBCS5の割合が増加した。また,極端に散歩回数が少ないグルー一プでもBCS5が増加する傾向にあった。