ペット栄養学会誌
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ネコの腸内細菌相に及ぼす亜硝酸の影響,およびその糞便からの亜硝酸還元菌の単離
吉井 貴宏浅沼 成人日野 常男
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2003 年 6 巻 3 号 p. 121-130

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抄録

ネコの腸内細菌相が亜硝酸によって影響を受けるか否か,またどのような菌が亜硝酸還元能をもつかを調べた。3mMの亜硝酸を添加した培地で糞中混合微生物を培養したところ,糖(グルコース,マルトース,およびセロビオース)からの乳酸の生成が増加し,プロピオン酸,ギ酸,および酪酸の生成が低下したことから,亜硝酸の存在により腸内細菌相が変化することが示唆された。RFLP(restriction fragment length polymorphism)解析においても,亜硝酸の添加による菌相の変化が認められた。特に,亜硝酸の存在下ではEnterococcus属およびClostridium属の菌の割合が増加すると考えられた。次に,亜硝酸の存在下で糞中混合微生物を継代培養し,亜硝酸還元菌を単離した。単離薗のグラム染色性,形態,コロニーの形状,増殖条件,16S rDNAの塩基配列,糖質利用性,およびグルコースの発酵産物のパターンから,単離した菌はClostridium perfringens,Eshcerichia coli,およびStreptococcus bovisであろうと推定された。その中でC.perfuringensおよびE.coliと思われる菌の検出頻度が高かったので,これらがネコ腸管内の主要な亜硝酸還元菌と推測された。また,同種と考えられる菌でも,亜硝酸還元能は菌株により大きく異なることが示された。

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