抄録
機能性胃腸症(Functional Dyspepsia,以下FD)では患者が訴える上腹部消化器症状は様々な形で表現される。現在,FDの病態として重要視されているのが胃・十二指腸の運動異常である。胃の適応性弛緩障害,早期胃排出亢進,胃排出の遅延などがFDの病態としてあげられる。また,FDにおいてはストレスホルモンの分泌によりグレリン(Ghrelin)分泌に影響を与え,食欲低下,FD症状の発症を引き起こすことが考えられている。ストレスにより視床下部のCRF(corticotropin releasing factor またはcorticotropin releasing hormone)関連ペプチドが増加することが知られておりCRFのFDの病態における役割についてCRF受容体agonist であるウロコルチン1(UCN1)をラット脳室内投与し,食欲の変化とGhrelinの動態,さらに受容体subtype,中枢神経における伝達機序について検討し,FDの病態における役割について脳―腸相関の観点から考察した。