大学体育スポーツ学研究
Online ISSN : 2434-7957
原著論文
主体的にスポーツ実技を選択履修する大学生の運動セルフ・エフィカシーとレジリエンスの特徴
―スポーツ実技履修者と健康スポーツ心理学履修者の心理的変容からの検討―
重藤 誠市郎山崎 享子John Patrick Sheahan奥田 功夫長谷川 望一川 大輔
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2020 年 17 巻 p. 3-11

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抄録

本研究は,大学スポーツ実技(実技群)及び健康スポーツ心理学(講義群)を履修した大学生の運動セルフ・エフィカシー(運動SE)とレジリエンスの特徴を明らかにし,運動SEやスポーツ経験などからレジリエンスの規定因を明らかにすることを目的とした.大学生304名を調査対象者とし,運動SE尺度とソーシャルサポート因子,自己効力感因子,社会性因子の3因子からなるS-H式レジリエンス検査(R検査)を初回授業時(事前調査)と最終授業時(事後調査)の2回実施した.運動SE,ソーシャルサポート因子,自己効力感因子,社会性因子及びR検査を従属変数とした授業要因(実技,講義)×時期要因(事前,事後)の対応のある2要因の分散分析の結果,授業要因の主効果は全ての従属変数で有意であった.講義群は運動SEとレジリエンスの低さから実技を回避し,実技群は高い運動SEとレジリエンスによって実技を主体的に選択できた可能性があると考えられた.また,自己効力感因子は授業要因と時期要因との間に交互作用が認められ,実技群は事後調査の得点が事前調査に比べて有意に高く,講義群は事後調査の得点が事前調査に比べて有意に低かった.また,事後調査において実技群の得点が講義群に比べて有意に高かった.スポーツ実技の授業効果として自己効力感のレジリエンスが高まることが明らかになった.実技群と講義群の群ごとで事前調査のR 検査を従属変数とした重回帰分析の結果,両群とも運動SEがレジリエンスの規定要因であったが,スポーツ経験年数には規定性は認められず,スポーツ経験の長さよりもスポーツ経験によって運動SE が高まることがレジリエンスを規定する要因であることが明らかとなった.

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