2023 年 20 巻 p. 83-90
学士課程教育における教養体育の位置づけと質保証の状況を把握するために,認証評価を受審した際に提出した各大学の『自己点検・評価報告書』の記載内容のうち,体育に関連する3つの基準,すなわち「教員組織」と「教育課程」,「施設及び設備」について調査した.調査対象は,第2期認証評価の2013年度から2017年度に3つの認証評価機関,すなわち,大学基準協会と大学改革支援・学位授与機構,日本高等教育評価機構のいずれかで受審した大学のうち,『自己点検・評価報告書』を閲覧できた631大学であった.記載内容を分析した結果,「教員組織」として体育を担当する組織に関する記載がある大学が32.5%と少なく,「教育課程」について体育に関する記載があるものが52.9%と約半数であった.これらの記載内容は外形的で,詳細な記載はほとんどなかった.一方,「施設及び設備」として運動場や体育館については90.3%が保有施設について記載していた.以上の結果から,『自己点検・評価報告書』では体育に関する点検・評価内容が不十分であり,教養体育の位置づけと質保証の状況について,詳しいことは把握できなかった.このことから認証評価が教養体育の質保証に役立っているとは言いがたいと判断できる.そこで,教養体育の外部評価として,全国大学体育連合の大学体育FD推進校表彰制度を活用する意義が示された.また,体育担当教員が認証評価にどのように関わっており,改善に役立てているのか,その取り組み状況を把握する必要性も示唆された.