Journal of Pesticide Science
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Print ISSN : 1348-589X
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ラットにおける急性ピレスロイド中毒のメトカルバモールによる治療効果
廣森 壽彦中西 とし子川口 幸子佐古 博鈴木 隆宮本 純之
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1986 年 11 巻 1 号 p. 9-14

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抄録
雄ラットに致死量の fenvalerate (850mg/kg), cypermethrin (850mg/kg), fenpropathrin (100mg/kg) および permethrin (850mg/kg) をそれぞれ経口投与し, 中毒症状の発現にあわせてメトカルバモール [3-(o-methoxyphenoxy)-1,2-propanediol 1-carbamate] を腹腔内投与 (初回400mg/kg, 以後200mg/kg) し, その治療効果をしらべた. Fenvalerate 投与で発現した振顫, 音刺激に対する反応性の上昇, 舞踏病様運動および流挺等の CS-syndrome はメトカルバモールで相当程度抑制され, また生存率は20%から100%へと改善された. Cypermethrin 投与の場合もメトカルバモール処置によって痙攣症状の抑制, 死亡率の低下 (80%から0%) が認められた. Fenpropathrin および permethrin 投与ではともに振顫を特徴とする T-syndrome が発現し, fenpropathrin では60%, permethrin では70%の死亡率を示したが, メトカルバモール処置による中毒症状の抑制とともに, fenpropathrin では死亡率0%, permethrin では10%となった. 以上のようにメトカルバモールほ, CS-syndromeおよび T-syndrome に対して著明な抗痙攣作用および救命効果を示す治療剤であると考えられる. また fenvalerate および cypermethrin 投与で認められた流涎の発現抑制には硫酸アトロピン (25mg/kg) の皮下投与が有効であった.
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© 日本農薬学会
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