抄録
ヘキサクロロベンゼン (HCB) はキセノンランプ照射下, とくに212.8nmから292.1nmの波長域において容易に光分解を受け, 252.6nmで最大の分解率を示した. 33.3分照射下において, 1ppm溶液, 10ppm溶液とも252.6nmでほとんど分解した. 100ppm溶液においては37.6%の親化合物が残存していた. 光分解反応は還元的脱塩素反応であり, 光分解生成物として, ペンタクロロベンゼン, テトラクロロベンゼン, トリクロロベンゼン, ジクロロベンゼンおよびモノクロロベンゼンがGC-MSにより同定された. 異なった波長での照射下では, 異なった種類のクロロベンゼンが生成し, その量も波長により異なった. キセノンランプ照射後の回収率, とくに286.1nm以上での結果は, 分解は遅いが, 環境中でのHCBの光分解の可能性を示唆した.