1988 年 13 巻 2 号 p. 239-245
トビイロウンカをマラチオンおよびMTMCで淘汰し, その後の薬剤感受性変化と抵抗性機構について検討した. トビイロウンカのマラチオンに対する感受性はマラチオン, MTMCの45回淘汰によりそれぞれ1/39, 1/25に低下した. しかし, MTMCに対する感受性はMTMC, マラチオンの45回淘汰によりそれぞれ1/4.2, 1/2.5に低下した. 両淘汰系統とも合成ピレスロイドに対する感受性は高くなった. K1, K2は虫体ホモジネートによるマラチオン分解を非常に良く抑えたが, in vivo の感受性検定では薬剤淘汰系統のみに共力効果が認められた. 淘汰系統の抵抗性機構としてはマラチオンに対してはマラチオン, マラオクソンの分解活性の増大によるとみられた. MTMCに対する若干の感受性低下はMTMCに対する分解活性の増大ではなくMTMCに対するアセチルコリンエステラーゼの感受性低下が主要因とみられた.