Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
ジフェニルエーテル系除草剤の作用機構
ジフェニルエーテル処理タバコ細胞磨砕液の光依存性酸素消費現象の解析
小路 弘行増田 建松中 昭一
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 13 巻 3 号 p. 495-499

詳細
抄録
Acifluorfen-methyl (AFM) 1μMを暗所で処理したタバコ培養細胞磨砕液は, 光照射下で酸素消費を大きく増加させた. 酸素消費増加と平行して磨砕液中には過酸化脂質が蓄積していた. この酸素消費の増加は, 他のジフェニルエーテルや環状イミド系除草剤にも観察され, 増加量は除草活性と相関が認められた. この現象を解析した結果, 磨砕液中に protoporphyrin IX の蓄積が認められた. そこで tetrapyrrole 合成促進効果を持つ 2,2′-dipyridyl で細胞を処理したところ, 光照射下でAFMと同様の酸素消費増加が観察された. 一方, protoporphyrin IX の蓄積から予想された ferrochelatase の阻害は実験された範囲のジフェニルエーテル系除草剤 (DPE) には認められなかった. これらの事実から 5-amino levulinic acid (ALA) 合成系の促進が疑われ, ALA合成活性の測定を行なった. その結果, AFM処理した細胞は無処理に比べ, ALA合成活性が高く, ALA合成が促進されているものと考えられた. したがって, 今回実験された範囲のDPEの第一次作用点としてALA合成の促進が推定された.
著者関連情報
© 日本農薬学会
前の記事 次の記事
feedback
Top