Journal of Pesticide Science
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ジエノクロルの毒性試験の概要
アグロ・カネショウ株式会社開発部
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1990 年 15 巻 3 号 p. 511-514

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抄録
ジエノクロルの各種毒性試験を実施した. ジエノクロル原体およびその50%水和剤の急性毒性はきわめて低く, 皮膚および眼粘膜刺激性も軽度であった. また, 皮膚感作性は認められなかった. マウスを用いた亜急性毒性試験では貧血, 肝の脂肪化, クッパー細胞の腫大, 脾リンパ濾胞萎縮等が最高用量群 (1280ppm) にみられたが, 320ppm (雄38.3mg/kg/day, 雌44.8mg/kg/day) 以下の用量群にはジエノクロル投与の影響はみられなかった. ラットおよびウサギを用いた催奇形性試験では, 母体に明らかな影響のみられる用量群においても, 胎仔の発育に影響は認められず, 催奇形性についても陰性と判断された. 変異原性試験では, 5株のサルモネラ菌を用いた復帰変異性試験において, 一つの株 (TA100) において疑陽性であったが, その他の4株では陰性であった. また, 枯草菌 (H-17およびM-45) を用いたDNA修復試験およびマウスを用いた in vivo 染色体異常試験ではいずれも陰性であった.
本剤は昭和62年に農薬登録され, ガラス温室内におけるばらのハダニ類およびカーネーションのニセナミハダニ防除に有用な剤となっている.
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© 日本農薬学会
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