Journal of Pesticide Science
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アズキゾウムシ幼虫の生育阻害に係わるインゲン種子中の生態活性物質の性状
Bongotrat SMITANONDVinai PITIYONT大沢 貫寿本田 博山本 出
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1991 年 16 巻 2 号 p. 179-188

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抄録

インゲン種子から単離した幼虫生育阻害物質 (収率約3%) は分子量 (Mr.) 約48,000, 等電点4.46のN-グリコシルタンパクであり, endo-N-acetyl-β-D-glucosaminidase Hに感受性と非感受性の部分からなっていた. SDS-PAGEで二つの主バンド (Mr. 18.000-18,500と17,000-17,500) と一つの小さいバンド (Mr.14,400-15,000), その他のうすいバンドを与えた. 糖含量はフェノール-硫酸法では8.5%, 構成糖 (1モル当たり mannose 20, fucose 1, xylose 2, N-Ac-glucosamine 15分子) からの計算値は15.2%であった. 豚スイ臓, アズキゾウムシ幼虫のα-アミラーゼを阻害するが, 植物, 微生物起源のそれは阻害しなかった. またトリプシン阻害活性, レクチン活性はなかった. 糖部分とタンパク部分の両者が幼虫生育阻害ならびにα-アミラーゼ阻害に必要のようである. 結果を総合すると, 幼虫生育阻害物質はこれまでインゲン種子から単離されてきたα-アミラーゼインヒビターと同一ないし近似のものといえる.

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© 日本農薬学会
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