Journal of Pesticide Science
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フェニル尿素系殺菌剤ペンシクロンに感性および非感性の Rhizoctonia solani 菌におけるその代謝
上山 功夫新木 康夫黒河 内伸山口 勇
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1993 年 18 巻 1 号 p. 109-117

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抄録

ペンシクロンに感性のイネ紋枯病菌 (Rhizoctonia solani) 2種および非感性菌2種を選び, フェニル環の炭素を14Cで標識したペンシクロンを用いて, その比較代謝実験を行なった. 紋枯病り病イネより分離したC-423菌 (感性; Anastomosis group=1) に, 0.5ppmのペンシクロンを処理したところ, 24時間後には約85%が代謝された. 一方, 他の感性菌 (R-C; AG=4) および非感性菌 (Rh-131; AG=4, SH-1; AG=5) では, ペンシクロンの代謝される割合は少なかった. 主要代謝物としては, cisおよび trans-3-hydroxycyclopentyl 体 (P-1, P-2) が見いだされた. これらの代謝物を含むいくつかの関連化合物について4種の R. solani のペンシクロンに対する感性を調べたところ, C-423およびR-Cに対してペンシクロンが最も強い抗菌活性を示し, 代謝物P-1およびP-2はそれに比べてはるかに弱かった. これらのことから, ペンシクロンの R. solani に対する抗菌活性はペンシクロン自体によるもので, また R. solani のペンシクロンに対する感性の違いを代謝様式の違いで説明することはできないことが示唆された.

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© 日本農薬学会
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