1993 年 18 巻 1 号 p. 85-90
ツユクサ表皮層を透過膜とする液/膜/液系での界面活性剤の効果を初期透過量 (X) と界面活性剤添加後の透過量 (Y) の変動から解析した. 使用した70%以上の透過膜のX値は70pmol/mm2/hr以下で, 透過膜の気孔はすべて透過実験中, 閉じた状態にあった. Xと気孔数の間には有意的な相関関係は存在せず, 本透過系は膜透過系での薬剤透過に対する界面活性剤の効果を判定することができることが示された. XとYは指数関係 (Y=ea・Xb) にあり, 係数aとbは直線関係にあった. 界面活性剤の添加効果を (1) X値として3pmol/mm2/hrを代入する方法と, (2) 係数a, bを比較する方法で検討した. (1) 法では, エチレン付加モル数8モルが最も効果が大きく, 14モルが低かった. (2) 法でも (1) 法での結果を反映したグラフとなった. これは同系統の界面活性剤の膜透過に対する効果の判定が, この実験系でのa, bの比較によりできることを示している. シリコン系活性剤は, これまで言われていた気孔等の開孔部からの透過以外に, 膜透過でのプロパニル透過をも積極的に促進することが示唆された.