抄録
ウンカ・ヨコバイ類をはじめ, アブラムシ類, スリップス類などに, 卓効を示すイミダクロプリドのワモンゴキブリにおける中毒症状および腹部神経索に対する作用性を検討した. イミダクロプリドを処理したワモンゴキブリは, 通常より高い活動性を示した後に静止・死亡した. 腹部神経索に対する処理では, 反復興奮とそれに続く神経伝達の遮断が観察され, イミダクロプリドが興奮と神経伝達遮断の二面性をもつことが明らかになった. また, イミダクロプリドの濃度の上昇に伴い, 神経伝達遮断までの時間は短くなり, 反復興奮の持続時間は長くなった. 中毒症状と腹部神経索に対する作用性から, イミダクロプリドはカルタップと異なった, ニコチンと類似した作用性をもつことが示唆された. また, イミダクロプリドの生物的作用部位がシナプス部であると推察された.