Journal of Pesticide Science
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クロロアセトアミド系除草剤 metazachlor の効果と代謝
細胞懸濁培養と幼苗の比較
Michel COUDERCHETBrigitte BROZIOPeter BÖGER
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1994 年 19 巻 2 号 p. 127-135

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抄録

Metazachlor の生物活性およびその消長を, イネとホウレンソウの細胞懸濁培養, およびそれぞれの幼苗で比較した. イネの細胞培養での生長は, metazachlor 200μMで阻害されず, ホウレンソウでは100μMでわずかに阻害された. 対照的に, 幼苗の生長はイネでは metazachlor 0.1μMで50%阻害され, ホウレンソウでは100μMで35%阻害された. イネ幼苗においては, 0.1μMの metazachlor は脂肪酸の不飽和化を著しく減少させたが, 一方100~200μMでも他の3種の試験系ではほとんど何の影響も示さなかった. 細胞懸濁培養はそれぞれの幼苗の試験系に比較して, metazachlor に対する感受性がより低かった. 最も感受性の高かったイネ幼苗において, 薬剤吸収が最も小さかったことから, 吸収で感受性の差異を説明することはできなかった. すべての試験系で metazachlor の代謝が認められたが, ホウレンソウでは200μMの metazachlor 投与72時間後で, 細胞培養では3.3μM, 幼苗では48μMの親化合物がそれぞれ残存していた. また, 0.1μMで培養したイネ幼苗では, 24時間後で18nMの metazachlor が残存していた. Metazachlor はホウレンソウには高濃度で残存するが活性を示さず, 一方イネ幼苗においてはその残存量が少ないにもかかわらず活性を示す. このことはグルタチオン抱合による薬剤代謝が耐性植物における唯一の保護機構ではないことを示唆している.

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© 日本農薬学会
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