Journal of Pesticide Science
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Print ISSN : 1348-589X
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チトクロームP450のバイオダイバシティと植物保護
大川 秀郎辻井 久恵下地 みゆき今宿 芳郎今石 浩正
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1999 年 24 巻 2 号 p. 197-203

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抄録
チトクロームP450モノオキシゲナーゼは農薬などの外来性化合物の解毒または活性化に, 並びに, 殺菌剤, 植物成長調節剤, 殺虫共力剤, 除草剤セイフナーなどの作用点として重要である.
最近のゲノムプロジェクトの成果により, P450遺伝子は生物界のバクテリア, プロトゾア, 植物, 動物, 糸状菌のすべてに分布しており, 動物や植物の種には多くの遺伝子が存在することが明らかになった. 特に, モデル植物であるシロイヌナズナには約400の遺伝子が存在すると推定されている.
これらP450酵素の生化学的性質を明らかにすることが, 生理学的な役割の解明に重要である. 高等植物では, シロイヌナズナT-DNA変異株を用いた研究が生理学的な役割の解明に有効であり, また, 酵母を用いた遺伝子発現系は実際に酵素機能の解明に広く用いられている. さらに, 薬物代謝に係わるP450分子種を発現したトランスジェニク植物の作出は, 除草剤選択性植物やファイトレメディエーション用植物の育成に重要である.
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© 日本農薬学会
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