Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
殺菌剤メパニピリムの土壌吸着とその機構
永井 雄太郎榛葉 香代子遊佐 義男箭木 昭
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 24 巻 3 号 p. 280-286

詳細
抄録

14C標識メパニピリムを用い, その土壌吸着性および吸着特性を5種類の畑土壌について調べた.
3段階の濃度で実施した吸脱着試験の結果, メパニピリムの土壌吸着はフロイントリッヒの吸着等温式によく適合した. 吸着係数Kfは12.9から427であり, 1/nはすべての土壌で1より小さかった. また, Kfを有機炭素含量で割り算出したKf, OCは, 1090から5210であった. 脱着においてヒステリシスが認められた. メパニピリムの吸着はpH依存性であり, pHの低下に伴い増加し, pKa (2.9) 付近で最大となった. このpH依存性には, プロトネーションしたメパニピリムと土壌コロイドの負電荷との間のイオン結合が関与していると推察された. 過酸化水素により土壌有機物を分解すると, 全ての土壌でKf値が減少した. pKKa以上のpHにおいて, 過酸化水素処理した土壌への吸着も, pHの低下にともない増加した.

著者関連情報
© 日本農薬学会
前の記事 次の記事
feedback
Top