Journal of Pesticide Science
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グリホサートの毒性試験の概要
ファーマー ドナR.脇森 裕夫
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2000 年 25 巻 3 号 p. 343-349

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抄録
グリホサートの安全性を評価するため各種の毒性試験を実施した. 原体, および各種製剤の急性毒性は低く, いわゆる普通物に相当した.
また, 眼に対する刺激性は軽度から中等度であり, 皮膚に対する刺激性は軽度であった. 皮膚感作性は認められなかった.
亜急性毒性, 慢性毒性および発がん性試験では, 雄ラットの高用量群において白内障様レンズ変性が, 雌ラットの高用量群において体重増加抑制が認められた. また雄マウスの高用量群において肝細胞肥大および小葉中心性肝細胞壊死が, 雌雄マウスの高用量群に軽微な体重増加抑制が認められたが, いずれの動物種でも催腫瘍性は認められなかった. また, 繁殖試験において繁殖能に対する影響は認められず, 催奇形性試験において催奇形性は認められなかった. 発達毒性が認められたのは母動物に対する毒性の認められた投与量においてのみであった.
変異原性は復帰変異, DNA修復, 染色体異常のいずれの試験系においても陰性であった.
薬理試験において心臓・循環器系に対する影響を示したが, 極めて高用量の投与の場合に限られており, 通常の使用により本剤による中毒は発現しないと考えられる.
グリホサートは1980年9月に除草剤として農薬登録された. 食品衛生法に基づく残留農薬基準が120種以上の作物に設定されている. 一日摂取許容量 (ADI) は0.75mg/kg/day である.
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© 日本農薬学会
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