Journal of Pesticide Science
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非病原性 Fusarium の誘導するソライロアサガオの萎凋抵抗性
清水 文一藤森 明日香宮川 恒上野 民夫渡邊 健小川 奎
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2000 年 25 巻 4 号 p. 365-372

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抄録

サツマイモつる割れ病菌 (PF; F. oxysporum f. sp. batatas) はソライロアサガオ (Ipomoea tricolor) に対して病原性を示し, 播種後7日後の幼苗に黄化を引き起こした. 子葉内に含まれる葉緑素量を定量することにより黄化を定量的に評価した. この子葉の黄化は非病原性 Fusarium (NPF; F. oxysporum 101-2) の胞子の前処理によって強く抑制されることを見出した. またこの黄化の抑制にともなって子葉や葉柄への菌の侵入も抑制されていた. 黄化の抑制はNPF培養濾液から菌体を遠心で除いた上澄み液によっても誘導されたが, 熱処理した上澄み液では誘導されなかった. また死菌胞子を処理しても黄化の抑制は誘導されなかった. このNPFが有する黄化抑制の誘導に関わる因子は熱に不安定な物質であると考えられた. このソライロアサガオを用いた抵抗性誘導の評価系は扱いやすく, PF, ソライロアサガオおよびNPFの関わる生物間の相互作用の化学的な解析に有用であると考えられた.

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