抄録
ハクサイ幼苗に27種の有機リン系殺虫剤の1,000ppm液を散布したところ, 葉枯れ, 黄化, 葉脈の異常 (ネクロシス, 奇形) などの薬害症状が現われた.
ディスク電気泳動法を用いて, パーオキシダーゼ活性を調べた結果, ハクサイの場合2本のバンドが検出され, 1本は新葉に多く, 他は老化が進むにつれ増加するが, リン剤散布によって後者のバンドが増大した. 増加の程度は, 全体的に葉枯れがはげしい場合に著しく, 外観の健全な場合は活性の変化はほとんど見られなかった.
酸性フォスファターゼについては, ハクサイでは3本のバンドが検出されたが, 全身葉焼けがはげしい場合に中央のバンドが強く反応した. さらに症状が軽い場合を除いて, 別のバンドも出現した.
脱水素酵素のうち, グルタミン酸脱水素酵素については, 健全および黄化症状を示す場合は1本のバンドが検出されたが, 葉枯れ症状が現われた場合にのみ2本のバンドが検出された.
非特異的エステラーゼについては, 主バンド2本が検出され, リン剤散布により活性低下が認められたが, 黄化を伴う症状の場合は, 老化が進むにつれ増加するほうのバンドが抑制された. 葉枯れ症状の場合は, 一定の傾向は認められなかった.