抄録
オオムギ幼苗を用いたうどんこ病防除剤選抜系を考案した. オオムギ幼苗の根部を供試溶液含有の脱脂綿で包み, 小筆でその展開葉にオオムギうどんこ病菌分生胞子を接種する筆接種法で, 植物体内を移動する性質を持つ薬剤を選んだ. これを第一次スクリーニングとした. つぎに菌接種1日前, 2時間前または1日後に薬液を噴霧処理したオオムギ幼苗を18℃の恒温器内に置き, 隣接の罹病植物からの分生胞子による風媒感染法で, 予防, 治療両効果をもつ薬剤を選び, これを第二次クリーニングとした. 第三次スクリーニングとしては, 常法による温室内ポット試験でキュウリうどんこ病に対する防除効果を調べた. その結果, 1,680株の放線菌から一菌株 (Streptoverticillium rimofaciens B-98891) を選出できた. さらに筆接種法を精製過程での生物検定法として応用することにより, B-98891株の培養濾液から比較的すみやかにミルディオマイシン (mildiomycin) を単離できた. ミルディオマイシンの効果は温室内試験で再確認された. 以上のことから本選抜系は抗うどんこ病薬剤の選出に有効であると思われた.